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どーも、ゆーすけです。
アメリカの片田舎の大学で研究者をしています。こんな仕事をしているとあらゆる場面でリジェクトを食らいます。その大部分の理由は科学会で一般的に採用されているピアレビューシステム(査読)という論文や研究費の申請書に対する審査方式にあるのではないかと思っています。
上記の説明はものすごくざっくりしていますが、だいたいどんな経過をたどるかと言うと、まず投稿された論文や申請書が受理されるには査読者全員からOKをもらう必要があるのですが、最初の投稿で論文や申請書が受理されることまずはありません。
だいたいけちょんけちょんにされます。その際辛辣なコメントと共にリジェクトの連絡を受けます。場合によってはもうそこでおしまいになることもありますが、大方の場合はそのコメントに沿って論文や申請書を書き直し、再度投稿し直すことができます。それを何度か繰り返し、最終的に査読者全員がOKを出してくれたらやっとここで受理されるという感じです。
基本的に研究者の仕事の最終プロダクトは論文や研究費の申請書であることが多いので、良いか悪いかは別として、研究者をやっているとやたらとリジェクトに出くわすことが多いのです。
もくじ
パーソナルに受け止めない
そんなこんなで何度もリジェクトを食らっているとなれてくるかと思いきや実はそうでもありません。毎回毎回受け取る批判に、頭にくるし、腹が煮え繰り返るし、がっかりするし、納得できないことばっかりです。
ピアレビューの基本の概念は論文や申請書の内容を否定するというよりは、内容をよくするための提案をするというものということは分かっているのですが、やはり否定的な批判ばかりを目にすると冷静さを欠いてしまうのも否めないです。
しかも冷静でいない状態でそのような批判を読むと、なぜだか自分自身を否定されいるような気になってしまいます。
実はこれは間違いで、基本的には仕事の内容や提案した計画にある不備を指摘されているだけのことが多いのです(残念ながら中には人格否定のような批判もないことはないですが、それは非常に稀です)。
だからどんなに否定的な批判を受けても、それらを少し俯瞰で見るようにして、自分自身と仕事を離して他人事のように批判を受け取るようにした方がいいかもしれません。そして自分自身が悪いから批判を受けている訳ではないことは頭の片隅に置いておいきながら批判を読むようにするといいと思います。
批判に反応するには時間を開ける
とまぁ冷静になることが重要だっていうのはわかっていても、批判を目にした瞬間にそんなものは頭からぶっ飛んでいってしまうのもよくあることです。どんなに穏やかで冷静な人でも、自分の渾身の仕事に対する批判を見たらやっぱり頭に血が上ります。
そしてそのままの勢いで批判に対応したら、まぁだいたい大変なことになります。全ての批判に喧嘩腰になり査読者をぶちまかしてしまおうというぐらいの返答を書いてしまうことになります。
でこれも絶対にやってはいけないことだと言われています。
なぜかと言うと、ピアレビューシステムの中では査読者は神様です。何があっても投稿者が勝てることはありません。そして、このシステムの概念に従って査読者は投稿者の仕事を良くするために断腸の思いで批判を書いている気になっているのです。
そんな人に感謝の念も示さず喧嘩を売るようなことをしたら、相手もいい気はしません。必ずしっぺ返しを食らうことになります。
そんな具合なので、批判への返信は「下手に出ながら自分の主張を通していく」と言う非常に高度な技術を必要とします。そのためにはかなり冷静になっておく必要があります。
だから批判を受けたらその場で対応はせず、一旦寝かせることが必要です。1週間でも2週間でも完全に自分の怒りが収まるまで、見ないことをお勧めします。
不思議なことに時間が経ってから見直してみると、「あれだけムカついていたはずの批判が意外と建設的なものだった」なんてことに気づくことも多いのです。頭にきてもその場で対応せず、冷静になるまで待つってとても大事なことだったりするのです。
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良い批判と悪い批判を見極める
一旦冷静になってみると今度は批判の中にも良いものと意地悪なものがあるのに気がつけるようになります。いくら査読者の方が強いからといって理不尽なコメントまでそのまま受け入れることはありません。
建設的で自分の仕事を改善するのに役立つ批判はしっかり受け入れて、人格否定のようなどうしようもないものは無視するか適当に流すのがいいのではないかと思います。
僕もよく
だとか、
僕の専門分野の仕事なのに
だとかの、対応のしようもない批判を受けることはあります。そんな時は
と上から目線でそのような理不尽な批判は適当に受け流すようにしています。
淡々と挑み続ける
これまで書いてきたことは基本的に批判自体にどう対応するかってことでしたが、ここからは「批判への対応」というよりは「どうやって論文や申請書を通してくか」ってことに近いかもしれません。
まぁ簡単に一言で言うと
諦めずに挑み続ける
に尽きると思います。
もうこれ以外に道はありません。どんなに批判を受けてもそれを受け入れて査読者のOKをもらえるまで挑み続けるしかないんですよね、残念ながら。
僕も1つの論文が受理されるまで3年戦い続けたこともあります。大型の研究費を手に入れるのにプロジェクトを始めてから4年半かかりました。また、ここ最近は研究費の獲得の競争が激しくなってきてアメリカでは採択率が全投稿の5ー10%なんて言われてます。僕も生き残るために必死になって研究費を投稿しまくってますが、年に小さいものも含めて15から20ぐらいの申請書を投稿して、年に1回当たるか当たらないかです。当たらない年なんてその15ー20の申請書に費やした時間の全てがパーなんてことになってしまいます。
でもまぁこの世界に生きていてピアレビューのシステムを避けられない限りは諦めず淡々と挑み続けるしかないんだと思っています。
まとめ
僕の場合は研究の世界の話でしたが、リジェクトを食らうことってどんな場面でも起こり得ることだと思います。もうこればっかりは避けられることでもないし、リジェクトってのは結局は他人からの評価なのでそこは自分でコントロールはできません。でもそこにどう対応するかは自分次第だと思います。
そして基本的にできることは
- 自分自身への批判なのかどうかを見極める
- 批判からはちょっと距離を置く
- 建設的なもの以外は受け流す
- 諦めず挑み続ける
ってことぐらいなのかな?とも思っています。まぁこれらが1番難しいことなのかもしれませんが(笑)。本当はリジェクトなんか食らわないぐらい良い仕事するってのが理想なのかもしれませんが、そこまでの力はないのでこれまで通り面の皮を厚くして淡々と挑み続けていこうと思ってます。さっ次のリジェクトに向けて今日もお仕事ガンバローっと(笑)。
ゆーすけ
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